湘南の森の植物です


ホトトギス

2009年10月1日

ユリ科 ホトトギス属
時鳥の胸の模様に花の斑点が似ているという。 花が上向きにつくので、目立つ。 形にも特徴がある花は、 中央にある雌しべの柱頭が3裂し、さらに先端が2裂して開き、 雄しべ6本が子房をかこんで立ち上がる。
蜜は花びらの下にある丸い壷にの中に分泌され、 ハナバチがもぐりこんで蜜を吸うとき、花粉が背に触れて媒介される。
ルリタテハの幼虫の食草。


ミズヒキ

2009年10月1日

タデ科 ミズヒキ属
半日陰の林下や路傍などに成育する多年草。
葉は互生し、幅広い楕円形でやわらかく、黒い斑紋があることが多い。 茎の先端から細長い花茎を出し、小さな花をまばらにつける。 4枚のがく片は上から見ると赤くみえ、 下から見ると白くみえる。
この様子が、熨斗などに掛ける紅白の水引に似ていることからの名前だ。
花が終わっても、花被片が残って種子を包み、手で触ると種子がはじけ飛ぶ。 花柱の先がカギ型に曲がって残り、動物散布型でもある。


シロヨメナ

2009年10月14日

キク科 シオン属
山野に生える多年草。
葉は長楕円状披針形で先はとがり、基部はくさび形。 縁に大きな鋸歯がある。葉柄はほとんど無い。 葉はやや光沢があり、3行脈が目立つ。
頭花は中心に黄色の筒状花が多数あり、周りに白色の舌状花が並ぶ。 そう果には剛毛状の長い冠毛がある。
湘南の森にはよく見られる。


カラタチバナ

2009年10月14日

ヤブコウジ科 ヤブコウジ属
暖地の林内に生える常緑低木。
あまり枝分かれしない。 葉は互生し、披針形、縁に波状の鋸歯がある。
夏に、葉腋から花柄をだし、白い花を10個ほど咲かせる。 果実は球形で、熟すと赤くなる。 実の数はマンリョウ比べ、ずっと少ない。
マンリョウ、センリョウに対し、 ヒャクリョウとも呼ばれる。


キブシ

2009年10月14日

キブシ科 キブシ属
シイ・カシ林の林縁や谷沿いに多い。 高さ3〜4mになる落葉低木。
雌雄異株。 昨年の枝の葉腋から、花序を垂らしていたキブシは、 早春に釣鐘型の花を多数咲かせる。 雌花は花穂が短く、淡黄緑色、雄しべが退化し、子房が発達している。 雄花はやや花穂が長く、淡黄色、黄色い葯をつけた雄しべが覗ける。 果実は始め緑色、熟すと黄色になる。
葉は花より後に展開し、長楕円形、先端が長くとがる。 夏には翌年の花芽ができ始めているのがわかる。
実にタンニンが多く、染料として使われる。
アカスジキンカメムシの幼虫の食草。


コマユミ


2009年10月14日

ニシキギ科 ニシキギ属
山野に生える落葉低木。ニシキギの品種とされる。 ニシキギのうち、枝にコルク質の翼がないものをコマユミという。
葉は対生し、倒卵形、両面とも無毛で、縁に細鋸歯がある。 葉腋から集散花序を出し、淡緑色の両性花を5月〜6月に咲かせる。 花弁、雄しべとも4個、萼は4裂する。 種子は刮ハ、熟すと裂けて橙赤色の仮種皮に包まれた種子が1個現れる。
秋の紅葉も美しい。 カメムシ、ガの仲間の幼虫の食草。


シラヤマギク

2009年10月14日

キク科 シオン属
別名 ムコナ
山地や丘陵地に見られる多年草。
茎や葉に粗い毛が生えてざらざらしている。 根生葉は長い柄があり、卵状心形だが、花時には枯れる。 茎に付く葉には翼がある。
茎の先が枝分かれして、散房状の花序を形成する。 頭花は直径1.8〜2.4cm、舌状花は白く、数が少ない。 そう果には剛毛状の長い冠毛がある。


タムラソウ

2009年10月14日

キク科 タムラソウ属
草原などに生える多年草。
草丈40〜130cm。 茎の先に紅紫色の頭花を上向きに咲かせる。 頭花は筒状花のみ。
下部の葉は長い葉柄を持ち羽状に深裂する。 各裂片は長楕円形、縁に粗い鋸歯があり、両面に白い細毛を生じる。
アザミに似た花を咲かせるが、棘はない。 草丈が大きく見ごたえがある。
チョウの幼虫の食草。


ノササゲ

2009年10月14日

マメ科 ノササゲ属
別名 キツネササゲ
林縁などに生えるつる性植物。
葉は三出複葉で互生する。 小葉は長卵形で、薄く、裏面が白っぽい。
葉の脇から出る総状花序に、淡黄色の蝶形花がつく。 豆果は倒披針形で、長さ2〜5cm、毛はない。 熟すと紫色になり、さやの中にある種子は黒紫色で、 どちらも美しい。


ヒヨドリジョウゴ

2009年10月14日

ナス科 ナス属
山野に生えるつる性多年草。
全体に軟毛を密生し、葉柄で他の植物にからみつく。 葉は互生し、卵形。下部の葉は深い切れ込みがある。
花はナスに似た形で、5裂した白い花冠が反り返ると 合わさった葯などが良く見える。
熟すと赤色に変わる液果は、晩秋の野山を彩る。 有毒植物。


マメヅタ

2009年10月14日

ウラボシ科 マメヅタ属
常緑性、シダの仲間。
根茎は細長く匍匐し、小さい濃褐色の鱗片を密に付け、 葉をまばらに付ける。 葉は肉厚で、濃い緑色、裏は白緑色。
樹皮にへばりつくように広がっているのは栄養葉。 円形から楕円形で短い葉柄がある。
立ち上がっているのは胞子葉で、 線形からへら形で、葉の裏側に胞子をびっしりつける。 岩を覆うように生えていることもある。


ヤブタバコ

2009年10月14日

キク科 ガンクビソウ属
人家近くの藪や、林の縁などに多い、1〜2年草。
ヤブに良く生え、下部の葉がタバコに似ていることから名が付いたという。
太い茎は途中で成長が止まり、数本の長い横枝を放射状にだす。 根生葉は大きいが、花の頃には枯れている。
頭花は約1cm、横枝の脇に下向きに並んでつく。 筒状花のみで中心部に両性の筒状花、周辺部に雌性の筒状花が並ぶ。 筒状花の花冠と子房の間に腺毛があって、粘液がでている。 そう果も、べたべたし、動物にくっついて運ばれる。
民間薬として利用されてきた。


キチジョウソウ

2010年10月31日

ユリ科 キチジョウソウ属
暖地の林内に生える常緑多年草。
吉事があると開花するという言い伝えから名がついた。
葉が良く茂り、花や実が見つけにくい。 秋に、紫色の茎に淡紅紫色の花を咲かせる。花被片はそりかえる。 花序の上の方に雄花、下の方に両性花がつく。
果実は熟すと赤くなり、翌年の花の時期にも見られることがある。


クサギ

2010年10月23日

クマツヅラ科 クサギ属
山地、丘陵地、原野などに生え、高さ4〜8mになる落葉小高木。
葉に強い臭いがあるので、この名がついた。
暑い季節に咲く花は、白と赤紫で美しい。 花は咲き始めに雄花期、その後雌花期を迎える。 香りが高く、その匂いでチョウやガを誘う。
蜜は長さ2cmあまりの細い管の中にあり、 口が長いアゲハチョウやスズメガの仲間が訪れる。 花は雌しべ雄しべを長く突き出して、虫に花粉を運ばせる。
果実は、萼だったところが赤くなり、その上に黒い果実がつく。 この配色は、くっきりとしたコントラストをなし、目立つ。 これを2色効果とよび、鳥にアピールしているものと考えられる。


コウヤボウキ

2010年10月31日

キク科 コウヤボウキ属
山地の日当たりが良く、やや乾いたところに生える落葉低木。
名前は、高野山でこの枝を束ねてほうきにしたことに由来する。
良く枝分かれし、1年目の茎には卵形の葉が互生するが、 2年目の茎には細い葉が束生する。
一年目の枝の先に、白〜淡紅色の筒状花が13個ほど集まって咲く。 花弁はリボン状で美しい。 雄しべ、雌しべを花の前のほうに突き出し、 昆虫が訪れると、雄しべは金色の花粉を押し出す。
種子の上部に長い冠毛があり、風で散布される。
良く似たナガバノコウヤボウキは、 2年目の束生した葉の中央に花をつけることで見分けられる。


サラシナショウマ

2010年10月31日

キンポウゲ科 サラシナショウマ属
春先の若葉を、1〜2日間よくさらしてアク抜きをしてから茹でて、 食用にしたところからこの名がついたという。
山地の林内に生える多年草。
葉は大きな2〜3回3出複葉。 茎頂に穂状花序を出し、柄のある白い小さな花を密につける。 花の萼片、花片は早く散り、多数の白色雄しべが長く残る。 花は雄しべ雌しべを四方に突き出したブラシ型で、 ハナバチ類やハナアブ類、チョウ類が受粉を助ける。
果実は袋果で、種子に鱗片がある。
花穂が大きく、山道で出会うと見とれてしまう。


ツルグミ

2010年10月31日

グミ科 グミ属
常緑、つる性低木。
茎が細く、逆さ向きの枝を出して 他の樹木に寄りかかっていることが多い。
グミ特有の星状毛は、葉表では早期に脱落するが、 葉裏に赤褐色に密生している。
葉腋に数個の白色の花が束生する。 萼筒の外側に赤褐色の鱗片が密生する。 花は秋に咲き、翌年初夏に長楕円形の実が赤く熟す。


トネアザミ

2010年10月31日

キク科 アザミ属
別名 タイアザミ
ナンブアザミの変種。 関東地方の山野にごく普通に生える多年草。
アザミの仲間では、頭花はすべて両性の筒状花からなる。 雌しべ雄しべがブラシの毛のように飛び出している。 色が濃ければ雄の時期で、雄しべが昆虫に触れると 雄しべが縮み、中から雌しべに押し出された白い花粉が 出てくる。 花粉を出し終わると、花柱が伸びて雌性期になる。


モクレイシ

2010年10月31日

ニシキギ科 モクレイシ属
海岸地域の林の中に生える常緑樹。
分布が限られていて、神奈川県西部(大磯丘陵、渋沢丘陵) 伊豆半島、伊豆諸島などが知られている。 特殊な分布には、地史が関係していると考えられている。
春に緑白色の花が咲く。 雌雄異株。 実は冬に熟して中から赤い仮種皮に包まれた種子が出てくる。 実の様子がツルレイシ(ニガウリ)に似ているので、 モク(木)レイシと名づけられたとのことだ。

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