湘南の森の植物です




モミジイチゴ

2010年3月12日

2012年3月24日

バラ科 キイチゴ属
別名 黄苺
東日本の山野に普通に生える。 高さ2mくらいになる落葉低木。 良く枝分かれし、棘が多い。
葉は互生し、卵型で、3〜5裂し、モミジを思わせる。
早春から咲く白い花は下向きに咲く。 下向きに咲くことで、移動性が乏しいハエや甲虫などを排除している。 さらに雄しべは深い筒を形成し、 大形から中形のハナバチだけに蜜を提供するようになっている。 ハエの仲間のビロウドツリアブも訪れる。
初夏にみのる実は黄色く、おいしい。
藪の手入れのときは、棘の痛さに泣かされるが、 森の恵みの豊かさを感じさせる低木のひとつ。


ウラシマソウ

2010年3月13日

サトイモ科 テンナンショウ属
花穂を包む苞から長い糸を伸ばしているのを 浦島太郎の釣り糸のようだということから名が付いた。
雌雄異株。 若い個体や栄養状態が悪い株では、苞の中に雄花序ができ、 栄養状態が良くなると雌花序に性転換する。
かすかなキノコ臭で小さなハエをおびき寄せる。 雄の苞に入ったときは、下の出口から花粉をつけて出てくる。 雌の苞は出口が無く、入ったハエは出られず、 内面がつるつるの苞の中を歩き回る。
受粉すると青い実がとうもろこし状にでき、秋に真っ赤に色づく。
有毒植物。


オオアリドオシ

2010年3月13日

アカネ科 アリドオシ属
別名 ニセジュズネノキ
海岸や沿岸部の常緑広葉樹林に生える常緑低木。
葉は硬く、卵型で先端は棘のようにとがる。 枝先や葉の付け根に鋭い棘がある。
初夏に、先端が4裂した筒状の白い花が咲き、その後、赤い実になる。


オニシバリ

2010年3月13日

ジンチョウゲ科 ジンチョウゲ属
別名 ナツボウズ
林下に生える落葉小低木。 高さ1mほどになる。
枝は灰茶色で太く、強靭である。 樹皮で鬼でも縛れるので、オニシバリ。
葉は秋に伸びて冬を越し、 夏に落葉するので、ナツボウズ。
花はジンチョウゲに似た形で、黄緑色。 雌雄異株。雌株は広楕円形で赤熟する実をつける。


トウダイグサ

2010年3月13日

トウダイグサ科 トウダイグサ属
葉の付き方が燈明台の飾りに似ていることから名付けられた。 日当たりが良い畑や道端などにはえる二年草。
立ち上がった茎の途中にへら状の葉が互生する。 頂端に5枚の葉が輪生し、 葉腋から放射状に枝を出し、先端に杯状花序ができる。 総苞の上端に蜜を分泌する腺体がある。
葉や茎に傷をつけると白い汁が出てくる。
有毒植物。


ハナニラ

2010年3月13日

ユリ科 ハナニラ属
別名 セイヨウアマナ トリテリア
丈夫な南米産の球根植物。
星型の白い花が咲き、 葉をちぎるとニラのような臭いがある。
園芸植物として利用されている。



マンリョウ

2010年3月13日

ヤブコウジ科 ヤブコウジ属
照葉樹林帯に生育する常緑小低木。
ヤブコウジに比べると大きくなり、 高さが50cmを超えるものもある。
7月頃に小さな白い花が咲き、 赤い実は正月を過ぎても残っていることが多い。 葉に隠れるように付くので、 上空から見ている鳥に見つかりにくいのかもしれない。


ヤブツバキ

2010年3月13日

ツバキ科 ツバキ属
照葉樹林帯の代表的な常緑小高木。葉の表面に光沢がある。
冬に咲く花は、蜜を多量に出し、 メジロ、ヒヨドリなどの鳥を呼び寄せる。 メジロは花びらに止まって雄しべの筒の中に頭を入れて蜜を吸う。 そのときの爪あとが花びらに残る。
花弁は5枚で、基部が合着しているので 花弁が散らずそのままの形で落ちる。 多数の雄しべも基部が合着している。
果実は大きく、熟すと厚い果皮が3つに裂開して、 中から種子が出てくる。 種子は油を含み、椿油として食用・明かり・化粧品などに 利用されてきた。


ユリワサビ

2010年3月13日

アブラナ科 ワサビ属
渓谷の落葉樹林下などに生育する多年草。 湿り気がある礫地に生える。
花茎は最初立ち上がるが、やがて倒れて地を這う。 4弁の白い花は、ワサビに似てやや小さい。
揉むとワサビに似た香りがあるという。


コクサギ


2010年3月22日

ミカン科 コクサギ属
山地の林下や谷間などに生え、高さ2〜3mになる落葉小低木。
葉は互生だが、枝の同じ側に2枚ずつ付くという特徴がある。 艶の良い葉は、揉むと特有のにおいがある。 このにおいの好き嫌いで、世代がわかるとか。
雌株と雄株があり、写真に写っているのは雄株。 雌株にできる実は4つに分かれる。



ムラサキケマン

2010年3月22日

ケシ科 キケマン属
日本各地に生育する越年草。 最初の発芽から二年がかりで開花結実するという。
赤紫色の花を沢山付け、春の野で目立つ。 花は細長く、後ろのほうに蜜を貯めている。
花粉を媒介するのはニッポンヒゲナガハナバチなど。 ハチが花びらを押し下げると、中から雄しべ雌しべが出て花粉を授受する。 ハチが去ると、花びらは元に戻り、雄しべ雌しべを隠す。
ウスバシロチョウの幼虫の食草だが、有毒植物なので、 それを食べて育つウスバシロチョウにも有毒成分が残る。 鳥はウスバシロチョウが毒をもつことを知り、捕食しなくなるらしい。
ケマンは仏具の1種で、文様を透かし彫りにした飾り物をさす。


シマテンナンショウ

2012年3月24日

サトイモ科 テンナンショウ属
多年草。
同属のウラシマソウに似ているが、 葉は2枚でほぼ同大。 葉身は鳥足状に分裂する。
鞘(さや)状葉は花期にも枯れない。花期は2〜3月。
伊豆諸島(三宅(みやけ)島、御蔵(みくら)島、八丈島)に分布する。
球茎はシュウ酸カルシウムの針状結晶などをもち有毒だが、 デンプンなどの栄養素を多く含むため、 シュウ酸カルシウム の刺激を避けながら食用とする工夫がなされてきた。


モクレイシ

2012年3月24日

ニシキギ科 モクレイシ属
海岸地域の林の中に生える常緑樹。 分布が限られていて、神奈川県西部(大磯丘陵、渋沢丘陵) 伊豆半島、伊豆諸島などが知られている。 雌雄異株。 花は2月から4月にかけて咲く。


オオアラセイトウ

2010年3月27日

アブラナ科 オオアラセイトウ属
別名 ショカッサイ ムラサキハナナ ハナダイコン
中国原産の一〜多年草。
1894年には記録があり、1939年から各地に広がり、 戦後分布を拡大した帰化植物。 観賞用、油料用として導入された。
高さ20〜130cm。 茎頂につく花は総状花序で、薄紫色の花弁は4枚。 果実は先端に細長い突起を持つ長角果。 道端、山地、畑などに生育。
スジグロシロチョウの幼虫の食草。


コブシ

2010年3月27日

モクレン科 モクレン属
別名 タウチザクラ(田打ち桜)
高さ10〜20mになる落葉高木。 葉は広倒卵形で互生する。
春の訪れを告げるように、陽光の中で白く輝く花。 芳香もあり、柔らかな姿とともに楽しめる。 良く似たハクモクレンとの違いは、 白い花の外側につく一枚の葉。
集合花は長さ5〜10cmで、こぶが多く、 熟すと袋果が裂けて赤色の種子が糸で垂れ下がる。
花蕾は辛夷として、漢方の原料とされた。



タチツボスミレ

2010年3月27日

スミレ科 スミレ属
全国に分布する一番ポピュラーなスミレ。
花は斜め下向きに咲く。 5個の雄しべは並んで筒を作り、先端の褐色の薄い膜が下向きの円錐をつくる。 さらさらの花粉は雄しべの円筒から出て、円錐の中にたまっている。 ハチが蜜を吸うとき、白い雌しべの先端に触れると膜の配列が乱れ、 花粉がハチの頭部に落ちて運ばれる。
花の頃は高さ10cmくらいだが、花のあと2倍以上の大きさになる。 開花期が終わったあと閉鎖花をつけ、確実に種子を作る。 種子にはエライオソームがついていて、アリに運ばれ分布を広げる。
ツマグロヒョウモンの幼虫の食草。


ナツトウダイ

2010年3月27日

トウダイグサ科 トウダイグサ属
全国の山地や丘陵に生える多年草。
茎は直立して、高さ20〜40cm、紅色を帯びる。 葉の付き方などはトウダイグサに似ている。
杯状花序の上にある腺体に特徴があり、 形は三日月形で、両端が細くとがり暗紫色。
花は目立たないが、薄緑の葉色の美しさと、 花のあとに膨らんでごろんと転がる子房がおもしろい。
名前に夏がつくが、春早くから咲き始める。
葉や茎に傷をつけると白い汁が出てくる。
有毒植物。


カキドオシ

2010年3月27日

シソ科 カキドオシ属
別名 カントリソウ(癇取草)
つる性多年草。茎ははじめ直立し、後に倒れて地上を長く這い、 節から根を出して繁殖する。 つるが垣根の下を越えていくことから、この名がついたという。
葉は対生し、長い柄がある腎円形。葉をもむと良い香りがする。 春、葉の脇に薄紫色の唇形花を開く。
花の形はホトケノザ(シソ科)、ムラサキサギゴケ(ゴマノハグサ科)、 トキワハゼ(ゴマノハグサ科)などと似ている。


ニリンソウ

2010年3月27日

キンポウゲ科 イチリンソウ属
山地、土手などに見られる多年草。 茎は高さ15〜30cmになる。
茎葉は3枚輪生し、表面に白斑があり、柄がない。 茎の先に直径1.5〜2.5cmの白い花を、ふつう2個開く。
花は蜜を分泌せず、タンパク質にとんだ花粉を提供する。 白く上向きの花は甲虫に好まれる。 産卵のためタンパク質を沢山取りたい雌の甲虫が訪れ、 雌を期待して雄の甲虫も訪れる。 花は太陽の動きを追って向きを変える。
花はイチリンソウに比べると小さいが、 群れ咲く有様は、春の妖精の名にたがわない。
トリカブトなどの有毒植物と芽だしが似ている。


ヒトリシズカ

2010年3月27日

センリョウ科 センリョウ属
山地の林下に生える多年草。 高さ10〜30cmになる。
茎は紫褐色で、節がある。 茎上部に2対の葉が十字形に対生するが、 節間が短いので輪生しているように見える。
葉が伸びきる前に穂状花序を伸ばし、ブラシのような花をつける。 花には花片も萼のもなく、雄しべ3本と雌しべ1本がある。 白い花のように見える部分は、雄しべの花糸。 雄しべの根元に黄色い葯があり、 そのそばには、先端が広がった雌しべがある。


ヤブヘビイチゴ

2010年3月27日

バラ科 ヘビイチゴ属
藪や林縁などに多い多年草。
ヘビイチゴより全体に大型で、葉が濃緑色。 また、ヘビイチゴの実は光沢が無いが、 ヤブヘビイチゴは、 果実の表面にできる痩果にしわがなく、果床が濃紅色で光沢があるので、 果実があると見分けやすい。
萼が内外の2列になっていて、外側の副萼片のほうが大きいのは ヘビイチゴ属の特徴。
食用にするのはオランダイチゴ属だが、 ヘビイチゴ属は果床が海綿質ですかすかしている。


タブノキ


2010年3月27日

クスノキ科 タブノキ属
常緑の高木。 樹皮は暗褐色で皮目が目立つ。
頂芽は大きくて目立つ。若葉は赤みを帯び美しい。 葉は互生で枝先に集まる。
葉身は倒卵状長楕円形で先端が尖る。葉は両面無毛で光沢がある。裏面は灰白色。 縁は全縁。
タブノキの花は5月に、展葉に先だって咲く。 花は黄緑色、花の後にできる果実は直径約1cm、偏球形。 秋に黒く熟す。
線香は、スギの葉粉末をタブノキの樹皮で固めてつくっていた。 黄八丈の樺色はタブノキの皮を使い、田の泥で発色させている。 材は器具材、家具材、建築材、ベニヤ材、枕木などに用いられる。 また、古くから船材に適し、昔、朝鮮半島から日本に渡来した船は、 すべてタブノキの材で造られたという。
アオスジアゲハの食草。

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